
調査報告書:No. SS3-100
報告者:サップ星情報収集局第7調査課調査員 ビヴォ
調査地点:中村公園
こちら調査員ビヴォ。
またコードネーム・レッドバロンに遭遇した。
レッドバロンは私の行く先々にいつも先回りしている。
私がサップ星人であることを察知し、監視しているのであろうか。
いや、そんなはずはない。
上司から「地球人は皆、スーツという縫製物で体を覆って活動しているのでこれを着ていれば絶対に怪しまれない」と言って渡されたスーツというものを着ているのだから。
それにしても監視をするにしては・・・赤い円錐形は目立ちすぎるのではないか。
ただ、レッドバロンが私に友好的ではないことだけは分かる。
私の直感は当たるのだ。
きっと何かのきっかけで私に戦闘を仕掛けてくるに違いない。
これまで私がレッドバロンに遭遇した場所といえば、アスファルト路面に大きな穴が空いていたり、排水溝の蓋が破損していたり、ガードレールが大きく変形していたりと、いずれも堅牢であるはずの構造物が粘土細工のように破壊されていた。
レッドバロンの威力のすさまじさを容易に想像できる。
しかし、レッドバロンの残骸に遭遇したこともある。
敵に引きずられたのであろうか、引き裂かれたように装甲がボロボロの状態で横たわっていた。
よほど激しい戦闘であったのだろう。
無惨な姿ではあったが、それが物語るレッドバロンの勇敢さに私は敬意と哀悼の念を禁じ得なかった。
ただ、今私の眼前に立ちはだかるレッドバロンは残骸ではない。
私はレッドバロンを回避するように、警戒しながら不自然な軌跡を描いて進む。
そしてようやくレッドバロンと距離を取ることに成功した。
ふぅっ
安堵のため息を漏らし、視野を広くとると・・・複数のレッドバロンに囲まれていた!
先ほど私が撒いたレッドバロンが信号を出し仲間を集めたに違いない。
私としたことがこんな失敗をするなんて、一個体に警戒しすぎたのか!
レッドバロンに囲まれ身動きを取れずにいると、作業型スーツの地球人がこちらにやって来た。
「ちょっとアンタ、困るな。そこ資材置き場で立ち入り禁止なんだけど。」
「あ、スミマセン・・・」
おこられてしまった。
報告を終了する。
あ、ブーツ汚れちゃった。