
調査報告書:No.SS3-099
報告者:サップ星情報収集局第7調査課調査員 ゼヴラン
調査地点:路地裏
こちら調査員ゼヴラン。
「町」についての調査報告を開始する。
行き交う地球人は容赦無く私に懐疑的な視線をあびせてくる。
上司から「地球人は皆、スーツと呼称される縫製物で体を覆って生活しているので、これを着ていれば絶対に怪しまれない」と言って渡されたスーツを着ているのに、だ。
何か他に原因があるのだろうか。
これ以上凝視されて、私がサップ星人であることがバレてしまうと調査に支障をきたすので、今日は人目の少ない路地裏で調査をすることにする。
ほどなくして中型の地球人がこちらへ歩いてきた。
ピピッ
私は動作確認を兼ねてサングラス型生体スキャナでその地球人をサーチした。
ん?!
戦闘力53万だと!?
故障か?
コマンドメニューを開き「自分の戦闘力をチェックする」を選択。
戦闘力500。
正常だ!
私は何という恐ろしい星に来てしまったのだろう!
どう考えても勝ち目がない。
彼と戦闘にならないように私は息を潜めやり過ごすことにする。
中型地球人も多分に漏れず私に懐疑的な視線を突き刺し、私の前を通り過ぎた。
ふぅーっ。
何とかやり過ごしたようだ。
入れ替わるように反対側から四足歩行の生物がこちらに向かって歩いてきた。
確か、ネコ・・いや違う。キツネ?ハクビシンか?
まぁいい。この四足歩行生物もサーチしておこう。
ピピッ
戦闘力32万だと!?
この可愛らしい小動物でさえ32万!
この星はこんな生物がゴロゴロいるというのか!
私は何という恐ろしい星に来てしまったのだろう!
この中型地球人と四足歩行生物が戦闘になったら大変なことになるではないか!
そうか!
この「町」というコミュニティでは互いに干渉せず無関心でいることで余計な戦闘を避け、自らの生活環境を破壊せずに保っているのだ!
さしあたって、中型地球人の持っている牛カルビ弁当を四足歩行生物が狙っているという危機が事なきを得るよう、私は祈るしかない。
報告を終了する