
調査報告書:No. SS3-101
報告者:サップ星情報収集局第7調査課調査員 ジョスラン
調査地点:商店街脇の公園
「町」についての報告を開始する。
何やら今日は町全体が騒がしい。
商店街でイベントをしているようだ。
しばらく公園のベンチで群衆を観察していると奇妙な生物が重い足取りでヨタヨタと私に近づいてきた。
そして重力に任せてドサっと私の隣に腰を落とす。
・・・その直後、私は戦慄の光景を目撃することになる。
その生物はおもむろに自分の頭部をもぎ取り、そのあとにオッサン型地球人の頭部が現れたのだ!
この奇妙な生物の体はオッサン型地球人に寄生され、内部から捕食されてしまったということか!
それであんなにヨタヨタしていたのか!
最後の力を振り絞ってここに辿り着いたのだな・・・かわいそうに。
私は恐怖で凍りついた。
しかし、わがサップ星人の脅威ともなりうるこのオッサン型地球人、もっと詳細なデータ採取が必要である。
私は恐怖に震える手でサングラス型スカウターのスキャンボタンを押す。
ピピっ
戦闘力30万。
やはり戦闘力480の私が勝てる相手ではないか。
ん?生命維持エネルギーが・・
残り2%!
虫の息ではないか!
今なら私でも倒せるかもしれない。
しかし、向こうのイベント会場から他のオッサン型地球人の仲間が応援に来たら一溜まりもない。
やはり戦闘にならぬよう、この場をやり過ごすことにする。
「あんた、イカしたタバコくわえてるね」
しまった!目をつけられた!
上司から「地球人は皆、スーツという縫製物で体を覆って活動しているのでこれを着ていれば絶対に怪しまれない」と言って渡されたスーツを着て地球人に溶け込んでいるはずなのに!
「あれ?煙出てないけど、火持ってないの?」
そもそもこいつは飾りで、火などつけたことがない。
全身の冷や汗が止まらない。
ジョボっ
「使いなよ」
オッサン型地球人は火のついたライターを私に差し出した。
いい人だった。
報告を終了する。