幕末心中立てブルース(2022年)

ストーリー

拙者は考ノ司酒盛。
幕府に仕える侍でござる。

椿の花はキレイでござる。
桜も捨てがたいが、拙者は何と言っても椿派でござる。
椿の花は、雄しべの黄と葉の深い緑が、花びらの赤を鮮やかに引き立てるでござる。

椿は散り際もまた趣深いでござる。
花ごと落ちる様子が、斬首のようで気味が悪いという人もいるようだが、拙者はそうは思わんでござる。
役目を終え、何も残さず潔くその場を去る姿は、実に健気で美しいでござる。

この国は、あの得体のしれない黒い船が来てから変わってしまったでござる。
間もなく国中を巻き込んで翻天覆地(ほんてんふくち)の大戦(おおいくさ)が始まるでござる。
おそらくそれが拙者にとって最後の将軍家への奉公になるでござる。
その戦場(いくさば)で椿のように美しく散ることができたら本望でござる。

しかしあの夜、ある人と約束をしてしまったでござる。
「必ず迎えに来る」と。
椿のように美しい人と約束をしてしまったでござる。

あとがき

こんにちは。ヤスダックレコード店長です。
この作品は、以前描いた『椿太夫』の連作になっています。
>>椿太夫ストーリーはこちら
あの誰にもこころを許さなかった椿太夫が唯一こころを許した男(間夫というそうです)はどんな男か気になった方もいたりいなかったりすると思いますが、こんなぶっきら棒な男でした。
果たして、こんな男が遊郭に遊びに行くかというところですが、親方の付き合いをどうしても断れなかったという設定にしています。
『考ノ司』は私の住む愛知県岡崎市の銘酒です。
日本酒を全く嗜まない私でも美味しく飲めました。

右手小指には椿太夫との心中立てがしっかりと結ばれています。

ジャケダケレコード

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使用例。お部屋の空気がピシッと整えます。

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