タクシージャック(2022)

ストーリー

「マスター、ごちそうさま」

タクシードライバーは行きつけのコーヒーショップ出る。

「さ、もうひと稼ぎすっか。」

伸びをしながら愛車に目をやると、神聖なボンネットに腰を落とす怪しげな男女二人組が待っていた。

「あんたがこのタクシーの運転手?」

ジャーン(ギター)

女が話しかけてきた。ギター男はしゃべらない。

「あぁ、そうだが。」

「あたし達を港町のクラブヤスダックまで乗せていきなさい。
財布を落としてしまって困ってたところなの。」

ジャーン(ギター)
男はしゃべらない。

どうやら無銭乗車をするつもりらしい。

「仕事中だ。どいてくれ。第一、港町までは200マイルはあるぞ。」

「だから仕事を依頼してるんじゃない。」

ジャーン(ギター)

「仕事って、あんたら金持ってないんだろ?
こちとらボランティアじゃないんだ。」

「あっそ。手荒なマネはしたくないのよね。」

ジャーン(ギター)

女は持っていたマシンガンをタクシードライバーに向ける。
男はしゃべらない。

「わ、分かった。手荒なマネだけはしないでく・・ん?なんだそれ、よく見ると拡声器?
なんだそうか、手荒なマネとやらをしてみろよ!」

自分に向けられているものが銃口ではなく、拡声器のスピーカーであることに気付くと、タクシードライバーは急に強気になる。

ダダダダダッ!

スピーカーの先から飛んだ銃弾はアスファルトに弾かれた。

「結局マシンガンかよ!ややこしいな!」

ファーン!(ハウリング)
「かぁくぅせぇいぃきぃにぃもぉなぁるぅわぁ。(拡声器にもなるわ。)」
女は拡声した。

「だからややこしいわ!」

ジャーン(ギター)
「ちなみにこいつはただのギターだ」

やっとしゃべった。

「あんたは黙ってろ!」
マシンガンのようにツッこむ。

「わかったよ。もう乗れよ。今時タクシージャックなんて流行んねぇぞ。」
タクシードライバーは観念した。

「あんた、ステージはそれで歌うのかい?」
二人組が後部シートに落ち着くのを確認するとタクシードライバーは話しかけた。

「そうよ。」

「間違っても客にぶっぱなすなよ!」

タクシードライバーは二人を乗せ、コーヒーショップの駐車場をあとにした。

数十分程走ると、タクシードライバーはバックミラーを気にしだした。
明らかに黒塗りのジャガーに追走されている。

「さっきから後ろの車ついてきてるようだが・・」

それを聞くと女は慎重に後方を確認する。

「ただのファンよ。」

女の顔を確認したのか、次の瞬間ジャガーは急加速し反対車線にはみ出しながらタクシーに並走、横から体当たりしてきた!

「ファンにしては熱狂的すぎやしないか?!」

ダダダダダッ!

女はためらうことなくジャガーの運転席に向けてマシンガンをぶっぱなした!
ジャガーは進行方向を逸れ、歩道に乗り上げ活動停止。

「おいおい、ファンは大切にしろよ!
客にはぶっぱなすなって言ったところだろ!
あとせめて窓はあけてくれ。」

「壊した窓は弁償するわ。無事にクラブに辿り着いたらマネージャーに請求してちょうだい。」

「運賃もな!」

三人の旅は始まったばかり。
女は無事にクラブヤスダックに辿り着きステージに立つことができるだろうか。

コンセプト

こんにちは。ヤスダックレコード店長です。
ストーリーをロードムービー調にしてみました。

この作品もオシャレ帝国ピチカートファイブのミュージックビデオから着想を頂いて制作しましたが、無意識に林檎ちゃんと浮雲さんのイメージに寄っていった気がします。作品というのは、憧れやリスペクトがにじみ出てしまうものなのですね。

黄色版ズレともやもやフィルターでレトロ感を演出しています。

ショートアニメ

イラストが少しだけ動きます。Youtube#short

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