ナイトカフェ『プルタブ』にて
カランカラーン♪
マスター) いらっしゃいませ。
カトー) あーーーしんどい。頑張り過ぎた。マスター、マカの元気ストレートで。
マスター) 今日はなんかあったのですか?
カトー) あぁ。A Fairly Orchestra(フェアリーオーケストラ)のライブ。
マスター) あの、ダンスミュージックや昭和歌謡で世界的に有名な?
カトー) そうそう。
マスター) フェアリーっていったら最近、妙に整ったアフロのトロンボーン吹きがいるって聞いたのですが。
カトー) ああ、実はおいらさ。そのことで少しばかり町がザワついているようだな。因みにワクワクさん、ニセ者らしい。
マスター) え、もしかしてあれヅラだったんですか!
カトー) そうさ。まだ誰にもバレちゃいないがな。
マスター) そんなこと世間に知れたら、スキャンダルになりますよ!
カトー) でも、かぶり続けきゃいけないのさ。ジョニーのためにも。
マスター) ジョニー?
カトー) あぁ。少し昔話に付き合ってもらえるかい?
マスター) 私でよければ。
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ダダダダダダダダダッ!ダダダダダダダダダッ!
カトー) 敵にすっかり囲まれちまったな。ウジムシどもめ!傷は大丈夫か、ジョニー。
ジョニー) ああ。だが、この足ではもうそう遠くへは逃げられん。俺がオトリになるからそのスキに逃げろ!
カトー) なに弱気なこと言ってんだジョニー。まだ先月生まれたベイベーの顔拝んでないんだろジョニー!
ジョニー) ああ。ベイベーがレイディーになったら伝えてくれ。こんなバカな父親がいたことを。
バカな父親だが、お前とお前の母さんのことを世界一愛していたことを・・・。
カトー) 俺は認めないぜジョニー!またダウンタウンの安いバーでバカ騒ぎしようぜジョニー!
ジョニー) 一つだけ頼み事していいか?
カトー) なんだいジョニー。
ジョニー) こいつを、俺だと思って祖国に持ち帰ってもらえないか?
そして、ジョニーは自分のヘルメットを脱ぎ、俺に託した。
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カトー) そのヘルメットがこのアフロだったってワケさ。
マスター) ・・・で?
カトー) 俺はそのアフロをかぶって逃げた。
マスター) ジョニーを捨てて?
カトー) ああ、しかも一目散に。
マスター) この薄情もの!
カトー) しかしアフロがいけなかった。目立ち過ぎて、敵の銃口が全部俺に向いた。
マスター) 自業自得だわ。
カトー) そのスキにジョニーは逃げきって、無事ベイベーの顔を拝めたとさ。計算通りだぜジョニー。
マスター) うそつけ!