ストーリー

わっちは椿太夫。
わっちを一目見た男は、椿の花が落ちるように恋に落ちることからこんなけったいな名前がついたでありんす。
わっちの虜になった男は皆、大枚をはたいてわっちと仮初(かりそめ)の夜を過ごすでありんす。
わっちに全財産をつぎ込む男が後を断たないことから、江戸商人の間では「蔵崩し太夫」なんて言いなんす輩もありんす。
でも、何人の男と夜を共にしようとも、大国の大名や大商人に抱かれようとも、わっちの心はこの小指に固くしばりつけた髪の毛のように解けることはござりんせ。

この結び髪は、あの方ととの心中立て。
あの日あの方は「必ず迎えに来る」と言い残し、夜明けと共にこの吉原安楽楼を後にしたでありんす。
いつかこの戦が終わって、泰平の世になったら、あの人は必ずわっちを迎えに来るでありんす。
そしたら、山里に賤家(しずや)を建てて、土を耕して二人で静かに暮らすでありんす。

1868年戊辰戦争の折り、旧幕府軍の指揮官として最後まで勇敢に戦い、上野の戦場でその身を賭したとされる三河出身の幕臣、考ノ司酒盛の右手小指には、艶やかな女性の髪の毛が巻きつけられていたという。

フィクションですけど。

右手小指に結ばれた心中立て

あとがき

こんにちは。
ヤスダックレコード店長です。
気の向くままに文章を打っていたら、とても悲しいストーリーになってしまいました。
しかし、彼女がそんな悲しみを背負っていると思うとこの作品が一層魅力的に感じます。
さて、そんな椿太夫が心中立てを交わした考ノ司酒盛とはどんな男なんでしょう。>>『幕末心中立てブルース』

強く、悲しい目をしているでありんす。

少し動くアニメーション >> Youtube#short

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