下町ガター娘(2022)

ストーリー

獲物を狙う鷹のような目でセンターピンをロックオン。
羽ばたくようなバックスウィングから、流れるようなスローイング。
そして13ポンドの球体は心地よいスピンに身を委ね、美しいカーブを描き・・・・・ガターへ。
美しいフォームに定評のある澤屋刈 逸子(さわやかり いつこ)。
しかし彼女から放たれたボールはピンを一度も捉えたことがない。

今日も20回目のガターを決め、ボウラーズベンチで ふて腐れ半分に コーラを流し込んでいると、長髭の老人が逸子に歩み寄ってきた。
「あんたのスローイングは自体は悪くない。」
「あなたは?」
「なぁに、ただのボウリング好きの老いぼれじゃよ。
原石を見つけると放ってはおけんたちでな。
おぬし、自分では気付いておらんかもしれんが、バックスウィングの時、おぬしの三本の指から膨大なエネルギーがボールに送り込まれておる。
そのエネルギーに軸足が耐えられずにリリース直前に目標がずれてしまうんじゃ。もしそのエネルギーをコントロールできれば、おぬしはボウリングの歴史に名を残すスーパーボウラーになるじゃろう。」
「はあ。。」
「これを履いてみなさい。」
長髭の老人はピンヒールを差し出した。
「これじゃあ余計に軸足が・・・。」
「まあ騙されたと思って履いてみなされ。」
逸子は疑いながらもピンヒールにつま先を滑り込ませる。
普段ハイヒールを履くことのない逸子にとってはこうしてボールを持って構えるだけでも不安定でしょうがない。
気を取り直してバックスウィングからのスローイング。
「はっ!」
エネルギーの集合体のようなものが一片のロスもなくスムーズに右手から放たれる感覚が分かった!
「これだわ!」
逸子は何かを掴んだ。
13ポンドのエネルギーの集合体は、心地よいスピンに身を委ね、美しいカーブを描き・・・・ガターへ。

気のせいだった。

「ごめん、よかったらそのピンヒール差し上げます。」
「要りません。」

作品解説

こんにちは。ヤスダックレコード店長です。
この作品は昭和歌謡をイメージして制作しました。
背景はカラフルボールをドットに見立て、レトロポップな仕上がりになっています。
今にもボールが画面を飛び出して転がってきそうですね。

アン
ドゥ
トロワ!ゴロゴロゴロゴロ!

ジャケダケレコード

この作品のジャケダケレコードをCreemaにて販売しております!

ジャケダケレコード(レコード盤は付属しておりません)
使用例。お部屋をオシャレに演出!

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