ストーリー

「ねえ、今どこ？」
「すまん、もう会えない。」
「会えないってどういうこと？」
「あぁ。もう終わりにしようと思う。」
「え？奥さんとは別れてくれるって言ったじゃない。」
「すまん、自分が帰るべき港がようやく分かったんだ。」
「随分勝手なことをいうのね。」
「すまん・・・相応の償いはするつもりだ。」
「償いって何よ」
「いくら必要だ。」
「見くびらないで！ねぇ、もう一度だけ会ってくれない？」
女は男の気持ちをつなぎとめるように投入口にコインを押し込んだ。

デートの定番待合場所、駅前の赤格子の電話ボックス。
甘い恋人たちと同じくらい悲しい別れもたくさん見届けてきた。

赤電話はいつも思う。
「ぼくの受話器に、悲しみ除去フィルターがついてたらいいのに」
そして彼は今日も指示された回線をつなぐ。
ジーコジーコ。。。

・・・という少し悲しいエピソードでした。
でも不倫はいかん。
かわいいけど自業自得！

こだわりポイント

電話ボックスの格子を利用して空間を大げさに表現しました。（ただパースは跡形もなく破綻しています。）
また、手前側の格子で画面を漫画のようにコマ割したことで、シネマティックに作品を楽しむこともできます。

赤電話は、幾何学図形が得意なデジタルツールを駆使してレトロっぽく武骨な感じにしました。

よく見るとダイアルに『DIAL YASDAQ』と入っています。

レトロな雰囲気を出したかったので、白場をベージュにし、モヤモヤフィルターをかけてあります。

ジャケダケレコード

こんなに素敵なヤスダックアートをCreemaでお買い求め頂けます。

動くイラスト

この作品が少しだけ動くアニメを作りました。Youtube #short